「またいらして下さったのですね」
「ああ、ユウに会いたかったからね」

今日も貴方は綺麗だ、なんて月並みな台詞を吐く気はないけれど。
全く貴方はその言葉の通りで。


やっぱり僕は貴方が好きだから。

「ユウ」
「はい」

手を伸ばすと自然に触れる貴方の頬。
白粉なんてなくても貴方は十分白くて綺麗なのに。

「好きだよ」

何度囁いたかわからない、愛の、言葉。

「本当に、好きだよ」

何度囁こうとも、何度伝えようとも、
貴方には届かないのを知っている。

それでも。
伝えたくて。

僕は無意味な言葉を吐く。


お酌をする綺麗な手を掴んで。
その指に口付けても。
貴方が示すのは軽い侮蔑の念。

それでも、
貴方の人間らしい姿が見れたと嬉しく思うのは。
おかしい事でしょうか。


「……貴方には…」

届かない。
それでも紡ぎたい、伝えたい言葉。

「大勢の男達よりも、誰か一人の大切な人と共に居る方がずっと似合いますよ」

それが僕でなくても。
貴方を人間にしたい。
僕の身勝手なエゴイズム。

「幸せになって欲しいんです」

見開かれた貴方の瞳。
きっと貴方は僕を、馬鹿な男だと思っているのでしょう。

「………あたしには…」
「ユウ?」

貴方の綺麗な言葉が、
ぽつりぽつりと紡がれる。

「この生き方しか出来ないから…」

それは。
その言葉は。
どういう意味で言っているのですか?

「ユウ……?」
「貴方様はお優し過ぎますわ。あたしにはそれが辛くて堪らないのに……」

あたしは人形です。
旦那様方の玩具です。

人間になってはいけないのです。

「ユウ…」
「なのに貴方は…貴方様は……っ」

あたしが崩されていく。

貴方があたしの名を呼ぶ度に。
貴方があたしを抱く度に。

貴方があたしを好きだと言う度に。

人形が、人間になってしまう。

「好きだよ」
「お侍様…っ!」

言わないで。

「好きだよ、ユウ」

やめて。
やめろ。
やめろ。

「やめろーっ!!」

もう。
あたしを壊さないで。
俺を、壊すな。

「ユウ……」

やっと貴方に会えた。
蹲り震える貴方。
やっと貴方が見えた。
自然に浮かんだ微笑は隠せなくて。

「本当に、貴方は綺麗ですね」

震える貴方の肩を抱く。
跳ねるそれをゆっくり、ゆっくり。

紅の点した口唇に。
そっとそっと、僕のそれを重ねる。

「……ん…っふ…ァ」

口唇を解放して微笑み掛けると、白粉をした頬がうっすらと紅色になったのが判った。

「お侍様……」
「アレン」
「………え?」

アレン、と呼んでくれませんか?

「アレ…ン…?」
「はい」

貴方に名前を呼ばれたいなんて。
贅沢過ぎるでしょうか?

「あの…お客様の名前をお呼びするのは……」
「規則違反ですか?」
「…………はい」

伏せ目がちに肯定する貴方。
でも、それが嬉しくて。

「ごめん」
「貴方様が謝られる事ではありません」
「いや、その事だけじゃないんです」

好きと言ってすみません。

びくりと揺れる貴方の躯。
胸の奥がつきんと痛んだ。

「いいえ、あたしこそお客様に大変失礼な事を……」
「僕は良いんです」

本当の貴方に会えたのだから。
こんなに嬉しい事はないのだから。

「……ありがとうございます」

目の前にあったのは貴方の、
綺麗な、
綺麗な微笑。

吸い寄せられるように、
自然と口唇が重なった。


貴方の肩に手を置くと、貴方は僕に全てを預けてくれる。


あたしが、貴方だけのモノだったら良いのに……


終


戯言:調子にのって続きそうです。死
痛い話ですみません;;クサい話ですみません;;
何かこういうテンションでいかなきゃいけない気がするので。この手の話は。(をい)
ユウさんがジェリー(仮名)さんに見え(殺害)
いやホントすみません!
お●らん・か●ま大好き野郎ですみません;(自爆)


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