School Wars


桜咲く春。
僕は新たな居場所へとやって来ました。

「今学期から皆さんと共に勉強する事になった、アレン・ウォーカーです」

広い、伝統を感じさせる校舎。
新しく出会った級友達。

全てが新鮮で。


「初めましてアレン君、私はリナリーっていうの」
「リナリー、ですか?」
「そう。学級委員もやってるから何かあったらいつでも言ってね?」
「よー転校生、俺ァラビっつーの。よろしくー」

皆優しい良い人達ばかりで、本当にここへ来て良かったなァと思います。

でも、気になる事が一つだけ。

「…………あの、神田さん……」
「………何だよ」

隣りの席の神田さんは、凄い美人で思わず見惚れてしまう程なんですが。
どうしても気になる事があるんです。

「…あの、どうして男子の制服を着てるんですか?」

神田さんはいつも学ランを着てるんです。
しかもボタンは全開、その上その下にはサラシだけ。
少し問題じゃあないですか。

女性の方がそんなはしたない格好をして、何かあったらどうするんです。
実際僕も彼女と話す時は、目のやり場に凄く困っているんです。
「はァ!?」
「あ、いえ、それが悪いなんて言いませんよ?…でも、せめて下にはちゃんとシャツを着た方が……」
「っ!ふざけんじゃねェ!このクソモヤシっ!」

モヤシ!?
何ですかそれは。
僕の事ですか?

僕はただ忠告してあげただけなのに何でそんな事言われなくちゃならないんですか。
というか女性がそんな口の聞き方しちゃいけないと思います。

「神田さんっ、女性がそんな口の聞き方……ギャアアアア!!」


何が起きたのか良く分かりませんでした。
気が付いたら僕は白い天井を見上げていて。

「あ、気が付いたかい?」
「?」

声のした方を見ると、眼鏡の白衣を羽織った人が穏やかな微笑みを湛えていました。

「ここは保健室だよ。僕はこの学校の保健医。
君は神田くんにギタギタにされて運ばれて来たんだよ」

まァ皆一回は神田くんに洗礼受けてるからね。
君みたいな子は珍しくないよ。

「はぁ……」
「………で、君は転校生だったね。えっと名前は……」

モヤシくんだっけ?

「…………は?」

保健医さんの眼鏡が怪しく光りました。

「良い名前だねモヤシくんって」
「え、あの違……」

訂正しかけた僕の言葉は、保健医さんの不気味な笑いに押さえ込まれて。

「…モヤシくん……。何か君神田くんに気があるみたいだけど……」

抜け駆けは許さないからね。

その瞬間、僕が感じたのは禍々しい殺気でした。
保健医さんから目に見えるようなおどろおどろしいオーラが放たれているのが分かります。

「………………ハイ」

僕は頷くより他ありませんでした。


一刻も早くこの空間から出たくて、僕は必死に元気を装い、教室へ帰して貰えるよう懇願して。

ああ、外の空気がおいしい。
自然と涙が滲みます。

しかし教員が生徒にあんな気を持って良いんでしょうか。
というか僕が神田さんに気があるだなんて何故言い出したんでしょう。

確かにあの人は物凄く綺麗な人ですけど、
あんな乱暴な口の聞き方をする手の早い女性なんて僕は好みじゃありません。
あ、いや別に嫌いじゃないですけど。
むしろ顔は凄く好みだし。

あれ?
これじゃ気があるのと変わらないじゃないか。

「………アレ?」
「あ、おーいっ」

あ、向こうから誰か走って来ます。
確か彼はラビと言った筈……

「よォ!災難だったな、モヤシ!」

お前もか!

「アレンです!」
「何でも良いさ別に」

良くありません。
断じて良くありません。
僕には立派な名前があるんですから。

「あーそうそう。あんまユウの事ァ気にすんなよ。あいついっつもああだから」
「ユウ?」
「神田ユウの事さ」

神田ユウ?
神田さんはユウって名前なんですか。
なんて可愛い…、いや、綺麗な名前なんですか。

「…ユウ……ですか」
「そ。知らなかったんか?可愛い名前だろー?」

そうですね。
あの人にぴったりですね。
ユウ、ユウかぁ…フフフ。

「で・も」

ラビの手が僕の肩にがしっと食い込むのが分かりました。
見ると彼もまた保健医同様、禍々しい笑みを浮かべています。

「ユウをユウって呼んで良いのは俺だけだから」

殺気です。
本日二度目の殺気です。
何なんですかこの人達は。
おかしいんじゃないですか。
ライバルならライバル同士正々堂々勝負しようとか言えないんですか貴方達は。

アレ?ライバルってやっぱり僕神田さんの事が好きなのか?

何にしてもおかしいです。
理不尽です。
不公平です。

僕だって神田さんをユウって呼びたいですよ。
ああもう良いや僕は神田さんが好きなんだ。
一目惚れしたんだ。
そうだ絶対そうだ。

「……………それは僕に対する宣戦布告ですか?」
「おうよ、仲良くやろーぜモヤシ」

ニタァと笑うラビは確実に僕を敵と見做した目をしていました。
でも僕はもう気圧されたりしません。

神田さんは僕が絶対手に入れてみせる。

そう心に誓いました。


桜咲く春。
僕は新たな居場所へとやって来ました。

そこは、一瞬足りとも気を抜けない、戦場でした。
そして、僕はこれからこの戦いが想像以上に過酷である事を、
今の僕の認識が甘過ぎた事を知っていくのです。


終

戯言:ケータイサイト300番キリリクで、学園モノで神田総受けでした。
………違いますねコレ。(自爆)ユウさんが全く出てこない死。
実はユウさんが物凄く書きにくいんです;;
アレン君もラビもなんですが(ダメダメ)ユウさんは特に…(オイ)
ちょっと総受けっぽく出来なかったので次リベンジしたいと思います;;(滝汗)
という訳で恐らく続きます。
ちなみにアレン君はまだユウさんを女性だと思っています。笑。恐らく一生思い込んでます。


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