氷ヲ溶カスヨウニ



氷のように冷たいお前。
抱いても抱いても、お前は冷たくて。

でも、だからこそ、お前を暖めてやりたいと。

お前は余計な世話だと言うかもしれないが。


「…ぁ…ん、は…っ」

足を自分から開いて、俺の愛撫を受けるお前。
それはそうだ。
俺は客、金払ってんだから。

これがお前の仕事なんだから。

きっと、本当なら男に足開くなんて死んでもやらないような奴だろうけど。
皮肉だよなァ。


高嶺の花。
茶屋の一番売れっ子。

そいつは客に媚びたりしない。
花魁のくせに凛としてて。
でも、それが良い。

結局はこうして客に足開くんだけど。
でも、他の花魁とは絶対に、何かが違う。

それは造られたものでも、意図して振る舞っているのでもなく。

きっと生まれた時から彼奴の中にあった。

俺はそれが欲しい。


「ひ…ぁっ、あ…っんぁっ!」
「ユウ、出すぞ」
「っあ!ぅあっあぁ!」



布団に沈む白い身体。
白い身体と布団に、黒い髪が良く映える。
一房摘んで、さらさらとした細い触感を指先で楽しんで。

鼻を擽る彼奴の匂いに頬が緩んだ。
白粉やら紅やらのそれとは違う、彼奴の、凄く凄く良い匂い。

思わず覆い被さるように細い身体を抱いて。
冷たい口唇に自分のそれを重ねる。

「…………何のつもりだ?」
「アラ、起きてたの」

気怠げに半身を起こすお前。
きつい彩を放つ瞳は、こんな時でも変わらない。

俺に抱かれる時でさえ、その色は変わる事はない。

冷たい、瞳。


「お前が欲しい」

気がつけばこんな馬鹿らしい台詞を吐いていた訳で。

やっぱり彼奴は軽く眉を顰めただけで、嘲笑うように息を吐いた。

「これ以上何を持ってくんだ?」

十分過ぎる程持って行っただろうが。

自分の身体を指すように手を上げるお前に、自分でも曖昧な笑みを浮かべる。

「いいや、俺はお前の何一つも手に入れてないさ」

例えばお前の心。
お前の本当の自由。

お前のその綺麗な瞳。

ホラ、何一つ手に入れちゃいないだろ?

俺はお前の総てが欲しいんだ。

「……俺は高いぞ?」
「構わねェさ。肝心なのはお前の心だ」

冷たい瞳を隠した瞼。
紅い口唇から紡がれる言葉。

「………好きにすれば良い。俺はただの人形だ」

綺麗な音に、満面の笑みを浮かべて。

「じゃあ好きにさせて頂くぜ」

綺麗な身体を抱き寄せた。

見開かれたお前の瞳に、俺の笑みが映る。

「人形なんかじゃない、本物のお前を」

言ったろ?
お前の総てが欲しいんだ。

勿論お前の本当の心も。

「………いや、むしろ…」

お前の心が一番欲しい。



冷たい身体、暖めてあげよう。
俺の為に。

恩着せがましくなんかないさ。
だってこれは俺の為だから。


終

戯言:花魁ネタでラビ神でした。
………やっちゃった。死
カッコいいラビ様を目指したのですが…;;
ちょっとユウさんを本物寄りにしたつもりですが。笑
オチが微妙とかはスルーの方向でお願いします。(オイ)


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