いとしい



愛しいという言葉は。
とても脆く儚く。

恐ろしい程に綺麗なもの。

口にするのはたやすく。
でも伝えるのは困難で。

だからこそ大切な大切な、
宝物のような言葉。



愛しくて愛しくて堪らないんです。

貴方という最も確かで、最も不確かな存在が。
僕の中でとても大きなな矛盾を生み出してくれる存在が。

硝子細工のように脆く壊れてしまいそうな貴方。
でも、その硝子は何より強いと皆が知っている。

その硝子の中が、実は驚く程弱いという事を、僕だけは知っている。

不釣り合いな強度を持った貴方。

いとしい。


綺麗で。
綺麗で。

見ていると堪らなくなる。

手を伸ばし。
貴方の綺麗な躯に。
触れようとして。

けれど、貴方の外はとても強いから。
触れられない。

愛しい貴方は強い人。
僕なんかが触れてはいけない。
強く、遠い人。



「神田」

闇の中、貴方を呼んだ。
貴方はそこ居るから。

返事は、ない。
でも、それが貴方がそこに居る何よりの証。

「ねぇ、神田」

空っぽの部屋に響くような。
そんな感覚。

「返事くらいして下さいよ」

真っ暗なそこを進んでいく。
僕の足音だけが響いた。

狭い部屋。
でも何一つもない訳じゃない。

少なくとも貴方の休むベッドと。
貴方が。
存在する。

すぐに貴方のベッドに辿り着いた。

「………はぁ」

柔らかくも固くもないそれに腰を下ろして。

「ん?」

そこに僕以外のものが乗っている事と、それが僕が呼び続けていた人だという事に気付いた。

「………神田」

漸く聞こえた貴方の吐息。

「…寝てるの?」

闇に慣れた目が、貴方を捉える。
貴方はその強い瞳を閉じていて。
長い睫毛の影がうっすらと見えた。

綺麗。
綺麗過ぎて恐いくらいに。

どうして、綺麗過ぎるものを見ると。
こんなにも堪らなくなるのだろう。

「本当に、愛しいよ」

貴方の頬にそっと。
気付かれないように。
そっと。


「…………起こすのは悪いね…」

ゆっくり立上がり、極力足音を立てずに。
入った時とは正反対だ。
自分で自分が可笑しくなる。

「おやすみなさい」

良い夢を。


閉まる扉。
戻る静けさ。
紅潮する頬。

「あの馬鹿野郎…」

愛しい。
そんな言葉。

「………胸糞悪ィ…っ」

言われて明らかに喜んでいる自分が。

頬に手を当てると、余計に熱くなるのが分かる。

『本当に、愛しいよ』

「何様のつもりだアイツ…」

俺以外誰も居ない狭い部屋に。
彼奴の声が響いているようだった。



愛しいという言葉は。
とても脆く儚く。

恐ろしい程に不確かなもの。

耳にするのはたやすく。
でも感じるのは困難で。

だからこそ、聞きたいのかもしれない。
感じたいのかもしれない。

愛しくて。
愛しくて。


終


戯言:アレ神で甘目指したんですが…(滝汗)
僕のユウさんはなかなか素直になってくれないので(死)無理で死た;;
短い上に意味不明ですみません;;
ハムナプトラ見ながらだと集中出来な(殺害)
TVとか音楽聴きながら小説書けない奴です。痛
何でTVの前にPCがあんだよ…(ボソボソ)