手を伸ばせば届くようで。
それでも届く事はなくて。

ひらひらと舞う蝶を追い掛けているような。
そんな感覚。


捕まえないから、閉込めたりしないから。
せめて此処まで下りてきて。



例えば、任務明けに半ば無理やり飲ませた酒。
例えば、偶然にも鉢合わせした大浴場。

俺の理性が切れそうになるポイント。

120%悪いのは俺だって分かってるから意地でも切らせないけど。

でも。
これはどうなんだろう。

俺の部屋。
前フリなく押し掛けてきたユウ。

俺のベッド。
愚痴という愚痴を粗方吐き出して話し疲れたのかコロッと寝ちまってるユウ。

俺。
膝の上辺りに頭を乗っけてスウスウ寝息を立ててるユウ。

「…………何コレ…」

普段寝顔なんて絶対見せない癖に。
よっぽど疲れてたの?
それとも誘ってんの?
これに限って絶対ない事を考えてしまう程俺の気は動転してた訳で。

思わず頬に手を伸ばしたり。
きっとこれで目を開けると分かってるけど。

5センチ。
3センチ。

1センチ。

「…………っ」

0.5センチ。

目ェ開けてよ。
触っちゃうよ。
怒るだろ?

0センチ。


「…………」

スベスベだ。
木目細かくて。
気持ちが良い。

「…ユウ…?」

変わらない寝息。
穏やかな寝顔。

凄く可愛い。

だらしなく緩んだ俺の顔。

視界にあるのは桜色の口唇。
触れたらきっと柔らかくて。

先刻の俺は何処へやら。
吸い寄せられるように身体が動く。
薄く開かれた口唇に、自分のそれを重ねようとして。

2センチ。
0.5センチ。

「…………」

ぱっちりと開いた漆黒の瞳。
そこに映る間抜け面の俺。


響き渡った絶叫。
何かが破壊される音。
俺の断末魔の叫び。



「………悪かったさ…」
「黙れ」

寸前のところで脆くも崩れた俺の野望。
それは良かったのか悪かったのか。
とにかく先刻の己を呪う。

ベッドの端に腰を下ろし、外方を向いた姿は怒りで彩られていて。
とても可愛いとは言い難い。
むしろ命の危機さえ感じる。

「ユーウ…」

でも今俺は生きてるから。
それは何とかもがく事が許されてるって事。

「ホント悪かったさ!何つーかその、ワカゲノイタリっていうか…っ魔が差したっていうかっ!
だから、えっと…」
「黙れっつってんだろ」
「………ハイ…」

あーもう死にたい。
消えちまいたい。

いっそその愛刀で一思いにやってくれませんか。

恥ずかしくて、切なくて。
堪らねぇよ。

ただただ自分を呪うだけ。
溜め息だって出やしない。

「オイ」
「へ?」

振り返ると。
思いの外至近距離に人形みたいな整った顔があって。
黒い髪が揺れているのをぼんやりと見た。

「……寝込み襲うなんて卑怯な真似しねぇで正々堂々きやがれ臆病者」

無感情に言ったつもりだったんだろう。
それこそ俺を嘲るかのように。

でもそれは見事に失敗していて。
頬に紅でも注したみたいに。
可愛い顔。

「……何ソレ…誘ってんの?」
「馬鹿じゃねぇのかお前」

思いっ切り馬鹿にしたように鼻で笑って。
否、それも上手くいってなかったけれど。

口角が自然とつり上がる。

「馬鹿ですよーユウ馬鹿ですー」

目を細めて白い両頬を両手で包み込んで。
今度こそ。
口唇を寄せた。




何度空に手を伸ばしても。
届く事はなかった。

焦がれて焦がれて。
苦しくて苦しくて。

息も絶え絶えに座り込んだ時。
ひらひらと蝶は飛んできて。

この肩に止まったのだ。

まるで共に休むかのように。
蝶は肩に下りてきたのだ。


願わくば、この時を永遠にと、肩の小さな温もりに瞳を閉じた。


終

戯言:ケータイサイトキリリクでラビュ甘でした。
……甘い…?どうですか甘いんですか小沢さん。(知るか)
ラビュと言ったらポルノのあの曲が…
ラビューラビューラビューラビュー♪
カラオケでいっつもこの部分でにやけてますが何か?死
とは言ってもまだ本編で顔合わせしてない二人orz
よくまぁ腐女子の妄想が持つものだと…涙が出ますよ…
早く会わしてやって星野様。
アレ神も早く!
マテールからもう一年以上経ってるよ!
ゲフゴフ。


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