花の雨が降る、綺麗な綺麗な夢に。
二人で行けたら良いね。


「……桜、散っちゃいましたね」
「何の話だ」

朝食時の食堂で、向かいに座っている君は、僕の言葉にいつものように眉を寄せる。

「桜ですよ、桜。神田の国の花でしょ?」
「………何でテメーがんな事知ってんだ」
「文献で読んだんです。時期は地域によって様々だけど、もうほとんどが散っちゃってる頃かなって…」

見てみたいな。
君の知っている、僕の知らない花。

淡いピンクの花が、沢山、沢山、国中に咲き誇っていると。
一度風に吹かれれば、その花びらは宙を舞い、雪のように地に落ちると。
その本には書いてあった。

「綺麗なんでしょ?」
「見慣れればそこまで綺麗なもんじゃねェ」

それは君だからそうなんじゃないかな。
絶対機嫌を損ねる事はわかっているから、その言葉は飲み込んだ。

「見慣れれば綺麗に見えないんですか?」
「なんだってそうだろ」

呆れたように息を吐いて、君はテーブルに肘を着く。

その姿は、綺麗だと思う。

「………そうかなぁ…」
「何?」

僕はいつも君が綺麗に見えるけど。

「な…っ!?」
「もう君と会って結構経つけど、そんな事思った事ないですよ」

一気に君の顔が真っ赤になった。

「ざけんな…っ!」
「ふざけてなんていませんよ」

僕の言葉の一つに反応を返してくれる。
それがとても嬉しくて。

「僕は君が好きなんですから」

君を好きになってから、特別になった言葉。

こんなにも。
口にしたくて堪らない言葉。

「………っ!もう良い…!」

勢い良く立上がり、そのまま逃げるように去ろうとする君。
平静を装ったようにしているみたいだけど、赤い耳がちらと見える。

「ねぇ神田!」

呼び止めようとしても、それは逆効果みたいだった。
君の足が目に見えて加速する。

「いつか…、絶対、二人で桜を見に行きましょうね!」

聞こえたか、届いたかわからない。
でも、いよいよ走り出した背中を見て、きっと聞こえたのだと笑みを浮かべて。

まだ見ぬ、いつか君と見る、綺麗な花へと思い馳せた。


花の雨が降る、幸せな夢を。
二人で感じられたら良いね。



終

戯言:ケータイサイトではでらタイムリーなネタで死た。
アレンが白い…。いやいつもの話だけどさ。
何となくわかるかと思いますが桜坂は桜が大好きです。(だから何だ)


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