こんにちは。
早速学園の人気者となったアレン・ウォーカーです。
自分で言うのもアレですが、僕の紳士的態度に殆どの女子がメロメロです。

でも。

「神田さん…」
「ああん!?」

彼女は相変わらず今にも僕を微塵切りにしそうな凶悪なオーラを放っています。

手強い。
こんな難攻不落な女性はかつて見た事もありません。
いえ、だからこそ落とし甲斐があるってものですが。

それにしてもこの僕がこんなにアプローチしているのに。
彼女はトキメキズキューンな表情など欠片も見せず、
逆に不快感をこれ以上出せない程に顔に貼り付けているんです。
おかしいですよ。

いえ、僕は別にナルシストではないですが。
普通女性ならもっとしおらしい姿の一つもくれませんか?

いえ、別に良いんですけど。

「夏服にしたんですね」
「だから何だ」
「学ランだけでなく、白いカッターもとても似合っていますよ。貴方の黒髪にはぴったりですね」
「キメェんだよ」
「すみません、貴方の美しさについ…」
「キメェっつってんだろーがァァァ!」


僕は教室より保健室に居る時間の方が長い気がします。
単位は大丈夫か心配でたまりません。

「また来たのかい?」
「好きで来てんじゃありません」
「君も懲りないねー」

保健室に来る度に僕の胃はギリギリとピアノ線で締め付けられるように痛みます。
このまま胃がぶち切れそうです。

というのも全てはこの教育界の癌、キングオブ反面教師の養護教諭の所為なのです。
彼は事もあろうに教員という立場にありながら神田さんに並々ならぬ感情を抱いているのです。
実に悍ましい、赦しがたい事です。

そんな彼は、害虫駆除だのほざいて事あるごとに僕に攻撃を仕掛けてきやがるんです。
むしろ害虫は手前だろうがと思うんですが、愚かな彼はそんな事にも気付きません。

とにかく、そんな勘違い野郎のお陰で僕の胃は痛むばかりか、もう崩壊寸前なんです。
いや、食事はちゃんと摂取してますけどね。
かなり量は減りましたけど。
今までの十分の九しか食べられないんですよ。
そろそろ告訴しようかと思っています。

「よっぽど神田くんに嫌われてるんだねーモヤシくんは」
「アレンだっつってんでしょ巻き毛」
「うわっ、先生にそんな暴言吐いちゃう?」
「先生には吐きません」

お前なんか教育者じゃねぇ!

かなりいいかげんな手当てを受け、教室に戻る頃にはもうお昼休みになっていました。
しまった!早く学食に行かないと!

「神田さんっ!」
「おー遅かったなぁモヤシー」
「くっ!ラビ…!」

いつも彼女が定位置にしている席には、勿論麗しの彼女が。
そして隣りには、憎き敵の姿が。

何勝手に僕の席に座ってんだ手前ェ!

奴の名はラビ。
僕の胃と頭を痛ませる一番の原因です。

奴はどうやら神田さんとは旧知の仲らしく、馴々しくも「ユウ」なんて呼んでいやがるんですよ。
僕もそう呼びたかったんですが、神田さんは下の名前で呼ばれるのが嫌いらしくて自粛しています。

それでも呼んでるラビって奴はもうレディを何だと思ってんだか。
女性の嫌がる事をし続けるなんて最低以前の問題ですよ。
セクハラです。
ゴミです。
カスです。
歩く公害です。

そして迷惑極まりない事に奴は僕を勝手にライバル視しているようなんです。
まぁ当然って言えば当然ですが。

転校初日に宣戦布告なんて馬鹿の考える事はわかりません。

「神田さん、左隣り良いですか?」
「ふざけんな」
「ありがとうございます」
「テメっ!ユウやだっつったじゃん!」
「これは神田さんなりの承諾なんですよ!」
「迷惑極まりないポジティブだなオイ!」

やれやれ、嫉妬なんて子供っぽいなぁ。
これだから馬鹿の相手は嫌なんだ。

「ねぇ?神田さん」
「何がねぇだ!俺のユウにベタヘタすんのもいいかげんにするさ!」
「……二人共うぜーんだよ…」
「へ?」

数秒後には僕達二人は食堂の外にボロ切れのように転がっていました。

「……神田さ…ん、は…ホントに照れ屋…さん…なんだか……ら…」
「ふふ…そーなんさなー……そこがまた可愛…い…ってゆー…か……」

彼女を落とすにはまず自分の気持ちに素直になって貰わなくちゃいけないようです。
保健室のベッドで胃をキリキリさせながら思いました。

でも必ず彼女の心を奪ってみせる。
隣りのベッドに寝ている馬鹿と、椅子に座って怪しげな薬の瓶を弄んでる変態の姿に、
その決意はより固くなりました。


終

戯言:ケータイサイト3600番キリリクで昔書いたSchool Warsの続編で死た。
激痛。
アレンはまだまだユウさんを女性だと思っています。死
念の為、この話のユウさんは男です。(…)


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