君はドレスに裸足の儘で


赤いのが似合うと思うんだ。
その綺麗な長い黒髪に。


ぎこちなく引いた口紅は俺が贈った深紅。

これ以外化粧らしいものは何一つしていないのに。

綺麗だよ。
あらゆる虚偽で塗り固めた女共なんて足下にも及ばない。


「カンダ」

愛しさの限りを込めて彼女の名を呼ぶと、不機嫌そうに整った眉がぴくりと動く。
同時に深紅の口唇がへの字に結ばれた。

「今日はちゃんと塗れたんだ」
「うるせぇ」

綺麗に口紅を引く事も出来なかった可愛い君。
からかうように言ってやると低い声が短く返ってきて。
思わず微笑んでしまう。

「………何だよ」
「カンダは可愛いなって思ってさ」
「……っ!ば…っか…」

頬を真っ赤に染めて吐き出すように悪態をつく姿だって。
可愛い。

「ホラ、おいで」
「………」

微笑んだ侭ゆっくりと手を差し出すと、幾許かの後小さく細い手が伸ばされる。
その手を取って恭しく口付けると手の主の耳も終に赤く染まった。

「………やっぱり…嫌だ…」
「なーに言ってんの。今更欠席なんて無理だからな?」

小さく呟いた言葉を子供を諭すように封じ込め、その細腰に手を回す。
不安げに揺れる長睫毛に、見上げる漆黒の瞳に、笑みを深めて。

「それに折角似合ってるんだから、見せなきゃ勿体ない」

しなやかな躯の輪廓を浮き彫りにする、長い、赤いドレス。
足の付け根まで入ったスリットも、彼女に掛かれば純粋な美以外に何も残さない。

まるで芸術品。
精巧な女神。

これをお蔵入りさせるなんて馬鹿な話があるものかと。

「でもこんな…真っ赤だぞ?」
「カンダには余計な装飾よかコッチのが断然似合うんだって」

着こなせられる人間なんて二人といない。

未だ何か言いたげなその口唇を塞いでしまおうか。

「………わかった」

お前がそう言うならって、それは最高の口説き文句だと気付いているのか。
抱き寄せずにはいられない。

「…っティキ…!?」
「ホーント可愛い…」

薄い布越しに伝わるのは、温もりと柔らかな感触。
上に纏められた髪に白い項が晒されて、思わず吸い寄せられるように口唇を寄せた。

「…、ぁ…っ!?」

小さく身を震わせる躯をきつく抱き直す。
口唇を寄せた白いそこには所有の痕がくっきりと残った。

「な…っに…」
「俺の女って証」

悪びれる事なく言ってのけると綺麗な眉がこれ以上ない程寄せられる。
赤い口唇が馬鹿と言葉を象った。

髪を下ろして痕を隠す姿に大袈裟に溜め息を吐きながら、下ろした姿も良いなとも思う訳で。
濡羽玉の黒髪を一掬いして口唇を落とした。

「………懲りねぇなお前も…」
「当たり前だろ?」

呆れたように息を吐く美人に、ニヤリと笑い掛けて。
水晶のテーブルに歩み寄ると無造作に置いたシルクハットを掬い上げる。
弄びながら片手を再び麗しい君に差し出した。

「参りましょうかお姫様」
「誰が姫だ」

それでもその手を重ねてくれる。
口許を更に吊り上げて本日の華を外へと誘った。

「後で一曲お相手出来ますか?」
「一曲で済めば良いんだけどな」
「………ご尤も」


長い黒髪を揺らして。
赤いドレスの長い裾を靡かせて。
凛として歩く姿は誰より何より綺麗。

「もう始まってるかもな…」
「…そうならお前の所為だぞ」
「はいはい…」


長い睫毛。
白い肌。
赤い口唇。

人間という人間が彼女に振り返る瞬間を早く見たい。
そして同時に知らしめてやるのだ。

この綺麗な女は髪一本でも俺のものだという事を。


恐ろしい程綺麗な黒と赤のコントラスト。


終


戯言:ティキユウ嬢…のつもりで死た。
何かねーネタが出なくて無理やり書いたやつだから凄い微妙。
要するにチャン・ツィーみたいなドレス着た神田嬢と礼服な黒ティキを妄想して悶えていたんですよ。死
それだけ書きたかったんでそれ以外は全く考えてなかったんですよ。爆死
正に山なし落ちなし意味なし。
タイトルはGLAYの某曲の一部から。
でもイメージはポルノの某曲の一部。
アホか。
だから最初タイトルはWe love usだったんだよ。(言ってんじゃねぇか)
でもどうも違うってんで変えま死た。
これもどうよとか言っちゃダメ。


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